2016年6月27日月曜日

ガレノス『ティマイオス敷衍』(7)

VII―それから彼は言った:「創造主(至高なる神に讃えあれ)は天使たちに、魂たちに死を受け入れる身体を作って、その身体を残りの魂たちに結び付けるよう命じた。そこで天使たちは最初の創造をおこなったが、その基礎(al-aṣl)は世界の諸部分から選抜した火や土や水や空気から天使たちが取ってきたものだった。」(42e–43a)そのあとに彼は、魂と肉体の必然的な結びつきによって魂に付帯しているものについて、なぜ魂は結びつきの当初には知性をもたないのか、なぜ知性はその後に魂の相手になったのかを説明した。それから魂の最初の状態の原因を湿度の多さに、第二の状態の原因を乾燥とした。それから彼は言う:「力強く偉大なる創造主は人間を創造したとき、人間の器官のなかで頭を創造しようとし、そのうちにふたつの神的な回転を作った。」(44d)つまり、創造主は人間のほんの一部しかこの器官に含めなかったのだ。つまり彼は言う:「すべての器官は頭に奉仕するためだけに創造されたのである。両足は歩くため、両手は掴むため、両目は見るために。」(44c–45b)そして彼は言う:「瞳から発出する光り輝く実体が我々を取り囲む空気と結びつき、その光が似たものと混ざり合い、それの変化に合わせて変化することによって、我々は外部〈に〉あるものを感覚するのだ。」(45b–d)私はこの言説を私の著作『ヒッポクラテスとプラトンの見解について』(fī ārā’ buqrāṭ wa-flāṭun)の第七巻やその多くの箇所ですでに明らかにしている。そして私の著作『論証について』(fī al-burhān)の十三巻で本当の論証をおこなっている。とはいえ、プラトンはその著作『ティマイオス』で、〈夢のなかでしか〉現れない像や、鏡のなか〈に現れる像について〉も語っている。我々が視覚から獲得する利益と我々が聴覚から獲得する利益は明らかである。彼は言った:「視覚と聴覚は哲学(al-falsafah)の生成のために作られたのである。」(47b)

(6) (8)

*底本はKrausとWalzerの校訂版。
あくまでも私訳のため、その点をご了承願います。逐語訳よりも、日本語としての読みやすさを優先してあります。また、随時更新する可能性有り。

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