2016年6月23日木曜日

ガレノス『ティマイオス敷衍』(3)

III―この言説に続くのは、世界はただひとつであるというものだ。それにまた続くのは、創造者は世界が物体であることを命じ、確実に見られ、感覚されるものとして作った。見られるものは火がなければなく、感覚されるものは土がなければない。そのため、世界を火と土から創造したのだ。そしてそれらのあいだにべつのふたつのもの、水と空気を作った。なぜなら、単純な表面がひとつの媒介をもつように、物体化されたものはすべて、ふたつの媒介をもつのであり、これはエウクレイデスが(awqlīdus)明らかにしている。その実体から、世界を超えたものは残されなかった。なぜなら、創造主は世界がつねに、影響を受容しないものであり得るように作ろうとしたのだから。というのも、もし世界を外から取り囲む物体を、熱かったり冷たかったりなどする強力な物体が取り囲んでおり、不必要な仕方で世界に触れたならば、その物体は世界を解体し、それによって世界のうちに病気や老衰が生じ、崩壊してしまっただろうから。そのため創造者(至高なる神に讃えあれ)は、天の外周を、円くてすべすべしてどこも同じような物体として作った、それが手も足ももつ必要がないように。つまり世界を、他者を必要としないで自らで運動できるものとして作ったのだ。なぜなら、その外部には何もないのだから。同様に、それは目も鼻も両のくちびるもないのだ。

(2) (4)

*底本はKrausとWalzerの校訂版。
あくまでも私訳のため、その点をご了承願います。逐語訳よりも、日本語としての読みやすさを優先してあります。また、随時更新する可能性有り。

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