それから、創造者が世界創造をおこなった目的に注視して彼は言った:「創造者は世界がずっと存続するように作り上げた。それが明らかなのは、世界がいまあるよりも卓越した状態にあることは不可能だからであり、もし彼が世界にずっと存続するよう命じなかったなら、そのようではなかっただろう。」(29c)それから彼は第三の原因に注視した。それは世界創造を呼びかける者(al-dāʻī)で、それは完全なる者(al-tamām)、または世界がそのためにあるものと呼ばれる。それから彼はそれを、彼が述べたふたつのもの、つまり創造者と、世界創造がそれに基づいている彫像(timthāl)に付け加えた。そして彼は言った:「世界創造の原因は、神の寛大さである(至高なる神に祝福あれ)、そして寛大なる御方は嫉妬せず、いついかなるときも、いかなるものについても物惜しみしない。そのため、世界の創造を整序することができるように、秩序をもたずまったくばらばらに運動する物体的実体を整序しようと望んだのである。なぜなら、秩序付けられていないいかなるものも、知性なしでは秩序に戻ることができず、そのため創造者はこの実体のうちに知性を作ったのである。いかなるものも魂なしで知性をもつことはできない。そのため、世界が魂をもつようにして、それをつねに可能なものとして創造したのだ。」(29e–30b)
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*底本はKrausとWalzerの校訂版。
あくまでも私訳のため、その点をご了承願います。逐語訳よりも、日本語としての読みやすさを優先してあります。また、随時更新する可能性有り。
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